基本的に、テーマは自由です。広い意味で、科学史・科学社会論に関係していればよく、直接私のテーマに関わる必要はありません。博士論文を書く人であれば、そのテーマに関しては私よりも専門家であるはずです。もちろん、何らかの形で私が「指導」できるようなテーマが望ましいわけですが、それにはいろいろなあり方があるだろうと考えています。
実験系の研究室のように、研究室全体で特定のテーマを研究するということはありません。研究は個人研究が基本で、共同研究はたまたまテーマ・関心が一致するときだけです。文科系の研究室では別にテーマがバラバラでもまったく構わないと考えています。
研究に関する強制はありません。研究内容や論文などに対してコメント・アドバイスをすることはありますが、それをどう使うかはあくまで本人が決めることです。必ずしもコメントどおりにするのが良いとは限りません。コメントは一読者がどう反応するのかを見る材料としてのみ使うべきです。
論文の投稿や学会発表に関しても自由です。自分で後で恥ずかしいと思うことのないような内容なら、どんどん投稿・発表してください。
ただし、教育に関してはある程度、強制をすることがあります。とくに、博士論文に直接関係することしか勉強しないのでは、博士を出ても行き場所に困る可能性が高いです。ひとつの分野、できれば複数の分野で、大学で授業を担当できる程度の基本的な勉強をしっかりしていることが重要です。そのために、ある程度、授業の履修や、特定の本の読書を、規定の履修要件を超えて、強く推奨することがありえます。
また、期限を区切って、それまでに課題(研究計画の執筆や、論文の各チャプターの執筆)を強制することもありえます。これれはつまり締切がないと仕事を終わらせられない人に対してです。
また、研究室の中でのインタラクションのために、セミナーへの出席や発表や、相互に論文等をコメントしあうことなどを要請することもあります。
逆に、学位論文のことを忘れて、メインの研究にあまり関係ないことにあまりに時間を使うことも推奨しません。大学院に滞在できる期間は限られていると考えて、そのなかで計画的に勉強と研究を行う必要があります。