科学・技術と倫理 Syllabus(暫定版)


伊藤憲二
平成21年度前期 
金曜日 13:00-16:00 (ただし二つの週は13:00-17:30)
全7回 24時間 2単位
6月12日開講
場所:共通棟セミナー室
担当者連絡先:
(ウェブ公開のため削除)

授業のねらい


理系のためのSTS


現代においては、科学と社会が密接に関連し、科学の急速な進歩によって、伝統的な価値基準自体が揺らぐ一方、科学研究の成果が社会に対して大きな影響を及ぼしうる。
この状況においては、科学者は単に科学者集団内の倫理規範にのみ従って研究に従事するだけではなく、変化する社会と価値観のなかに自らの研究を位置づけ、自らの研究に関して責任ある倫理判断を下すだけの社会と科学との関係についての理解をもつことが望ましい。
このように科学研究自体をメタな立場から捉えなおしつつ、科学研究に従事するような、いわば再帰的科学者(reflexive scientist)を養成することがこの授業の目標である。
とくに、生命共生体進化学専攻の「科学と社会」の入門と、副論文執筆のための指導を行う。

対象・必要条件


生命共生体進化学専攻の生命系の大学院生を主たる対象とする。ただし、科学社会論専攻の大学院生の履修も認める。
他専攻・他大学の履修・聴講希望者はあらかじめ相談すること。
全学科目「科学・技術と社会」を履修していることを前提とするが、かならずしも必須ではない。
取り上げる映画は英語ができるほうが良いものがあるが必須ではない。
日本語の読み書きができることが望ましい。

教科書


以下の授業予定のなかのReading assignmentsを教科書とする。

成績評価


・授業参加60%,期末の持ち帰り試験(レポート)40%

授業について


・ 通常一回3時間の授業を学期内に7回行う.2単位.
・ 原則として、前半講義、後半ディスカッションを行う。
・ Reading assignmentsを読んでくること。Presentation assignmentsを準備してくること。参考図書は参考までに。
・ 希望があれば申し出ること。少人数なので、テイラー・メード方式が可能。

レポート(期末試験)について


期末形式は持ち帰り形式(レポート形式)で行う。試験問題は以下の通り。
1.この授業やその他の勉強を通して、科学と社会に関わる問題で自分の関心のあるものをひとつ選び、その問題について何がどう問題で、なぜそれが重要で、あるのか説明せよ。ただし、科学と社会に関わる問題とは、たとえば、科学や技術がその問題の発生の原因だったり、その問題の調査や解決に必要でありながら、その問題が社会的に影響をもち、かつその問題の解決が科学や技術だけでは(あるいは科学者・技術者の共同体内部だけでは)原理的にできなかったり、困難であったりするような問題をさす。
なお、できれば将来副論文に発展するテーマが望ましい。したがって、テーマはよく考えて選び、副論文のテーマを考えながら決めることを推奨する。
2.上記のような問題に対して、どのように取り組めばよいと思うか、考察して、述べよ。たとえば、可能な解決案をいくつか提案し、それぞれのメリット・デメリットと、実現可能性を論じてもよいし、あるいはその問題に対して可能な解決策がないことを論じてもよいし、その問題を解決するために必要な調査を論じたりしてもよい。
答案の分量は全体でA4、3枚から5枚程度とする。持ち帰り試験の締切は追って指示する。おそらく、9月末となるものと思われる。

授業に関する注意


・ シラバスの内容は、履修者との協議の上、変更することがある。
・ 少人数の双方向的な授業を行うため、積極的な発言を奨励する。
・ 授業の妨げになる行為(携帯電話や私語)は厳禁とするが、それ以外の行為は何をしても良い。飲食物の持ち込みは可とする。

授業予定


 (種々の事情により、開講日を変更することがある)

第一部:概論



June 12 Meeting 01 科学の対象化


・科学者の殻を破る、ということについて
・科学と価値観
・文科系的学問の特質と方法

June 19 Meeting 02 科学の俯瞰:科学史、科学哲学、および科学技術社会論の概要


・科学史
・科学哲学
・科学技術社会論
Movie: The Day After Trinity
Reading assignment: 『迷路のなかのテクノロジー』から、カンブリアの羊飼いと、エイズ

第二部:科学と社会


June 26 Meeting 03:社会における科学


・20世紀半ばの社会における科学の位置の変動
・戦争と科学、国家と科学、科学技術の国際競争
Reading Assignment: 広重徹『科学の社会史』から;中山茂『科学技術の国際競争力』
Discussion : Oppenheimer’s Tragedy (映画についての討論)

July 03 Meeting 04 科学における社会


・大学と研究所
・大規模システムとリスク
Reading Assignment:『迷路のなかのテクノロジー』から、チャンレンジャー事故
Discussion: 研究所と地域
Movie: GATTACA

第三部:生命倫理と環境倫理の事例


July 10 Meeting 05 遺伝子と社会


・遺伝子組換え技術とアシロマ会議
・ヒトゲノムと人間的価値
Reading Assignments: 『人体市場』から数章;ワトソンのGATTACA評。
Discussion 遺伝子をめぐる倫理の諸問題(映画とReading assignmentsについての討論)

September 04 Meeting 06 医療と社会


・医療倫理概説
・脳死臓器移植問題
Reading Assignments: 加藤、小松の論文
Discussion: 脳死・臓器移植問題およびその他の医療倫理問題

September 11 Meeting 07 環境と倫理


・環境倫理概説
・地域環境問題とリスク
・地球環境問題
Reading Assignments: 中西準子、ラングドン・ウィナー、地球温暖化論争に関する文献
Discussion:地域環境問題・地球環境問題

September 18 予備日